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「私は本当に貴女…真祖カーミラの力を借りたい。 そう、それは世界を焼き尽くす破壊の力でも、万人を救う為の救済でも良いのだ。 ただ、私は、貴女の“力”が欲しい」
目の前に立つ巨大な影はそう、低く嗄れ地を這うような声色で彼女を誘った。
その声は聞きようによっては、甘く優しい誘いにも、恐ろしい企てに誘う悪魔の囁きにも聞こえただろう。
そんな伯爵の誘いを聞いた彼女は、
「ふ ざ け ん な よ」
一蹴した。
そして、次には三発の銃声が響く。
伯爵は己の体を見た。 その紅い瞳の視線の先には肉が削げ、骨は砕かれ、内臓が潰れて綺麗に向こう側が見えた。
そして、在るはずの心臓が綺麗に千切れ飛んでいた。
「…伯爵。 アンタは私の大切なモノ、“健治”を奪ったんだ。 そんな奴に手ぇ貸すかよ」
ごぶり、と伯爵の口から血が吹き出し、溢れ出す。
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