古都の殺意 ～初恋の行方～

臆病な名探偵(ﾎｰﾑｽﾞ）

「いよいよ修学旅行まであと1週間だよね」

給食の時間に涼也の隣の席の少女──田代あかねがそう言った。

我が十条第二中学校では来週の金曜日から2泊3日で京都・奈良への修学旅行の予定が組まれており、一昨日の総合の授業で班割り等もすでに決定していた。

優哉と涼也は1班で、他のメンバーには同じ野球部の斉藤、ハンドボール部のエース小川、テニス部の園部、サッカー部の原、陸上部の松本という良く言えばクラスのムードメーカ、悪く言うと何かと羽目の外しやすいメンバーばかりである。

ちなみに1日目の奈良では優哉たちが他のメンバーに許可を取り、百合やあかねなどがいる女子班も加えて、全12人で回る予定を立てていた。

優哉たち4人が幼なじみということもあるが、百合やあかねからしたら優哉と涼也の2人が羽目を外しすぎないようにするためという目的もあるからだろう。