臆病な名探偵(ホームズ)

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「はあ~……」 北区にある十条第二中学校の屋上で、この学校の3年生、狩野優哉はため息をつきながら外の景色を眺めていた。ブレザーの前のボタンを閉めていないこともあり、時折風でブレザーが揺れている。 そもそもこの学校の屋上は普段鍵がかかっており、普通入ることはできない。ここに入れるのは彼ともう1人、彼の幼なじみだけだ。 「そんなため息ばっかついてるとろくなことねえぞ」 優哉が声がした方を振り向くと、優哉と同じくブレザーの前のボタンを閉めていない1人の少年が立っていた。 彼が川島涼也。この屋上に入ることのできるもう1人の人物──優哉の幼なじみである。 授業はもう5分前に始まっている。つまりこの2人は授業をサボって屋上にいるというわけだ。 「お前いつまで先延ばしにするつもりだよ」 涼也が優哉に向かってそう問いかけた。
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