542人が本棚に入れています
本棚に追加
「はあ~……」
北区にある十条第二中学校の屋上で、この学校の3年生、狩野優哉はため息をつきながら外の景色を眺めていた。ブレザーの前のボタンを閉めていないこともあり、時折風でブレザーが揺れている。
そもそもこの学校の屋上は普段鍵がかかっており、普通入ることはできない。ここに入れるのは彼ともう1人、彼の幼なじみだけだ。
「そんなため息ばっかついてるとろくなことねえぞ」
優哉が声がした方を振り向くと、優哉と同じくブレザーの前のボタンを閉めていない1人の少年が立っていた。
彼が川島涼也。この屋上に入ることのできるもう1人の人物──優哉の幼なじみである。
授業はもう5分前に始まっている。つまりこの2人は授業をサボって屋上にいるというわけだ。
「お前いつまで先延ばしにするつもりだよ」
涼也が優哉に向かってそう問いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!