真田幸憲という男

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優哉のハンカチに包まれていたもの、それは……… 「これって……蚊取り線香?」 百合が『それ』をを見ながら言った。 「そう。蚊取り線香だ。これが手すりの近くに落ちていた。犯人はこいつを使って屋上に上がらないで死体をビルの下へと落とした…」 そして優哉は己の推理を語り始めた。 「仕掛けは簡単。まず、死体をシーツみたいなものでくるみ、ピアノ線で手すりにくくりつける」 「ピアノ線なんかでそんなに重いものを支えられる?」 「いや、あれってかなり頑丈だぞ」 あかねの疑問にピアノを習っている園部が答えた。 「あとはピアノの一部が……」 「ピアノ線の一部が蚊取り線香に触れるようにセットして火をつける。あとは時間がくれが蚊取り線香の火がピアノ線を焼き、死体は下に落下する。そうやろ優哉」 優哉の話を遮って幸憲がそう言った。
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