臆病な名探偵(ホームズ)

6/24
前へ
/78ページ
次へ
「正直きつかったよ。『俺の家族はお前のせいでバラバラになった』て言われたのは」 その時の様子を思い出しているのか、そう言う優哉の様子はどこか寂しげだった。 「お前の探偵としての信念は『罪を犯した者は法によって裁きを受けるべき』だろ。そういう信念は簡単に曲げるべきじゃないはずだ。それがたとえ自分の友人であってもな」 真剣な口調で涼也がそう言った。 「『あいつ』──謙吾(ケンゴ)は今どうしてるんだろうな涼也」 「さあ…。分かるのは俺たちと同じ空の下にいるってことぐらいだな……」 そう言って優哉と涼也は空を見上げた。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加