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ここは……どこだ? 見覚えがあるような、懐かしいような……。
俺は誰かに抱かれている。なんだか暖かくて……。これは誰のものなのか確認しようとするけど、その人の顔はわからなくて……。女の人が目の前に立っている。でも、顔はわからない。
『どっ、どうなされたのですか、時渡りの姫様!? すっすぐに手当てをします!』
『いえ……いいのです。私はもう助かりません。ですが、この子だけは……お願い…します』
『わかりました……。命に変えてでも守ってみせます』
今まで抱かれていた人から目の前の女の人に渡された時、何故か温もりが消えたような気がした。
そしてまた俺の意識は遠退いていった。
「おーい、シユフィ? 起きろー。起きないと燃やしちゃうよ?」
「わっわかったから燃やすなカレア! 起きたからっ」
薄い意識の中聞こえてきた恐ろしい言葉に、俺は飛び起きた。俺がさっきまで寝ていたベッドの横には声の主であるカレアがいつものように笑みを浮かべながら立っている。
腰の辺りまで伸びた石榴のような色をした紅の長い髪に、優しい赤色をした瞳をしたカレアが笑うと、可愛いな、と思う。
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