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ひっそりとした静かな通りに、その店はあった。
真っ黒な木造平屋。
木がこんなにも真っ黒なのは、この店が300年以上も前から、この地で多くの魔法使いをみてきていたからである。
シキ「……あれ?」
店の前に来て、シキは奇妙さに気づいた。
シキ「これは…?」
店の前には立て看板があり、『本日貸切』と書いてあった。
シキ「……もしかしたら」
小さく呟き、シキはドアを開けた。
シキ「こんにちはー。」
店内にシキが入ると、
店主「ほっほっほっ、来おったか。」
老人店主・オリバンダーは、柔和な笑顔でシキを迎え入れた。
シキ「ご無沙汰してます。あの、表の貸切の看板は……」
店主「今日はおまえさんの貸切だよ。」
シキ「……やっぱり、手杖の時がアレだったからですか?」
店主「そうじゃよ。いやいや、おまえさんの手杖を見繕うのには本当に時間がかかったからのぉ、ほっほっ。」
シキがアカデミーに入る時に、シキの手杖を選ぶ作業には3時間近くを要した。
持ち主の魔力を十分に魔法として表出するために、杖にも千差万別ある。
オリバンダーは、「杖が持ち主を選ぶ」と言ってはばからない。
しかし、それだけの杖の在庫数と店主の情熱があるからこそ、オリバンダーの店は300年以上、多くの魔法使いから愛され慕われてきたのだった。
店主「さ、準備は整っとるよ。どれからいこうかな?」
そう言って店主は店の一角に目線を移す。
そこには何百という数の錫杖が立てかけてあった。
シキ「本当に、準備万端ですねwww」
店主「勿論じゃよ。これでも魔力許容量の弱い杖は省いてあるんだがねぇ。さて……まずはこれからだ。」
オリバンダーは、赤褐色の錫杖をシキに渡す。
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