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アカデミーの中庭のベンチで魔法書を読んでいる少年が1人。
少々長めの黒髪に黒い瞳、端整な顔立ちをしておる。
少年の名は「シキ」。
13歳の年に入学し、留年しなければ18歳の年に卒業する6年制のアカデミーで、この春から5年生になる16歳の見習い魔法使い。
アカデミーの成績は毎回トップという偉業をなしている。
授業態度も良好で、レポートや課題は忘れずサボらずやっている優秀な生徒で、一部の教師陣からは100年に1度の逸材だと言われている。
シキは黙々と、書を読んでいた。
呪文学からの春休みの宿題レポートの題材として選んだ本で、古代語魔法について記されている。
シキ「公暦1608年、タクナムカン遺跡はこの魔法の力が主な原因となり崩壊した。魔法が使われた理由として、1603年から勃発したノルマンディー帝国の国内紛争が1番有力とされているが、確たる原因は未だ分かっていない・・・・・・」
右隣においたノートに重要と思われる文を書いてゆく。
シキ「・・・・・・フーッ、だいぶ進んだな。」
座りっぱなしでカチカチに固まってしまった体を立たせ、大きく伸びをする。
タッタッタッ・・・タタタタタタ・・・・・・
シキ「んっ?」
足音が近づいてくる。
シキ(誰だ?)
と思い、振り返ろうとした瞬間、
どぐわしっ!
シキと同い年ぐらいの男子が、猛スピードでシキに抱きついた。
シキ「アルク!抱きつくなって。気持ち悪いだろ!」
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