1人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁぁぁあ!」
「きゃーーっ!」
遠くから人の叫び声がした。
ベル「な、なんだ今の?」
リオン「森の方からでしたね…」
ダッ!
次の瞬間には、シキはもう声のした東の森へと駆けだしていた。
アルク「お、おいシキ!?」
カエラ「あたしたちも行こう!」
他のみんなもシキを追う。
日は西に傾きかけており、空は茜色に染まっていた。
森の中は薄暗く、その中をシキたちは走って、ふと開けたところに出た。
そこには13~4歳の男女数名が腰を抜かして動けなくなっていた。
手杖を持っているところ、アカデミー生のようである。
シキ「おい、大丈……」
最初に現場に着いたシキは倒れていた生徒たちに近寄ろうとして、その生徒たちの目線の先に顔を向ける。
アルク「いた!」
カエラ「シキ、大丈…え……」
ほかの皆も追いつき、シキと同じように、あるものに目を奪われる。
そこには全長5mを超える灰色の竜が、倒れてた生徒たちを捕食しようとしていた。
シーラ「ド…ドラゴン!?」
リオン「この体と目の色…フロント・ドラゴン…かな?」
ベル「なんでこんなんが、こんなとこにいるんだ!?」
シキ「……Mハンから脱走でもしたのかな?」
そう言いながらシキは、カエラに青い円筒を投げ渡す。
シキ「カエラ、そいつを打ち上げてくれ。」
カエラ「ええっ、打ち上げるって……何なのこれ?」
シキ「信号弾だよ。Mハンでの、緊急連絡用のもんだ。導火線あるだろ?」
カエラ「えー…あ、あった。よしっ。」
カエラはシキの指示に従って信号弾の準備をする。
リオン「シーラ、あの子たちを安全なところで開放してあげて。」
シーラ「わかった。」
シーラは下級生のもとへ駆け寄る。
ベル「ど、どどどどうすんだよコイツ!」
アルク「攻撃していいんだよな?」
ベルは事態の急展開に慌てて、アルクは手杖を出して既に戦闘態勢である。
しかし、
シキ「や、攻撃はナシだ。」
と、シキが制する。
シキ「Mハンから逃げたものなら、出来るだけ無傷で返さなきゃならない。それにここからは市街地が近い。ヘタに刺激して反撃がきた時、流れ弾が街に飛ぶこともあり得る。」
アルク「じゃあどうするんだよ?」
シキ「ここは討伐じゃなく捕獲だ。安全かつ確実に保護する方向でいこう。」
最初のコメントを投稿しよう!