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「やめろ!そいつを連れていくなよ!」
カナエが連れていかれる。
そんなのは駄目だ。許さない。
カナエが手を僕に向ける。
僕はその手を取りたいのに――取れない。
後ろで僕を押さえ付ける連中のせいで。
「こいつは貰っていくぜ」
連中の中で一番のやり手であるそいつが言う。申し訳なさそうな顔をしながら、しかしカナエをがっちりと捕まえたまま。
「ふざけるな!お前らになんの権限があって――」
「悪いが、俺達のバックにいるのは、お前なんかじゃ敵わないお人だぜ。まあ、だから申し訳ないが、こいつは諦めてくれ」
一方的にまくしたてたそいつは、カナエを抱えた。
それにまた殺意が湧く。
「返せっ!カナエを返せよっ!カナエ――!!」
必死の嘆願。しかしそいつは聞きもしなかった――。
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