プロローグ

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「やめろ!そいつを連れていくなよ!」 カナエが連れていかれる。 そんなのは駄目だ。許さない。 カナエが手を僕に向ける。 僕はその手を取りたいのに――取れない。 後ろで僕を押さえ付ける連中のせいで。 「こいつは貰っていくぜ」 連中の中で一番のやり手であるそいつが言う。申し訳なさそうな顔をしながら、しかしカナエをがっちりと捕まえたまま。 「ふざけるな!お前らになんの権限があって――」 「悪いが、俺達のバックにいるのは、お前なんかじゃ敵わないお人だぜ。まあ、だから申し訳ないが、こいつは諦めてくれ」 一方的にまくしたてたそいつは、カナエを抱えた。 それにまた殺意が湧く。 「返せっ!カナエを返せよっ!カナエ――!!」 必死の嘆願。しかしそいつは聞きもしなかった――。
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