8人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
…『狐火!』
白狐は念じると、これ以上の大きなものを作った覚えが無いほど、大きな青白い炎が空に舞い上がり、辺りに降り注ぐ……!
「うわぁ…!?なんだ!?」
「クゥン……!」
白狐を掴んでいた手は、自分に振りかかる火の粉から身を守ろうとする恐怖心からか、緩んでしまう。
その一瞬を見逃すわけもなく、白狐は手からすり抜け慌ただしい村人達を尻目に姿を眩ました……。
「フゥ……フゥ……」
なんとか命からがら逃げ出した白狐は屋台もやっていないような、村の中までやってきた。
…やっぱり妖力使いすぎて疲労感が凄いよぉ……
意識の朦朧とする中、串焼きだけはしっかりくわえ、少しでも見つかりにくい草むらの中をとぼとぼと歩き続ける……。
…少しだけ休憩……少しだけ…少し…だ…け……
トサッ……
白狐は倒れるように、重い瞼を閉じた……。
?「あら…例の狐さん……?」
白狐の耳にはそんな声が聞こえた気がしたが、身体は動かなかった……。
最初のコメントを投稿しよう!