三章:逃亡

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…『狐火!』 白狐は念じると、これ以上の大きなものを作った覚えが無いほど、大きな青白い炎が空に舞い上がり、辺りに降り注ぐ……! 「うわぁ…!?なんだ!?」 「クゥン……!」 白狐を掴んでいた手は、自分に振りかかる火の粉から身を守ろうとする恐怖心からか、緩んでしまう。 その一瞬を見逃すわけもなく、白狐は手からすり抜け慌ただしい村人達を尻目に姿を眩ました……。 「フゥ……フゥ……」 なんとか命からがら逃げ出した白狐は屋台もやっていないような、村の中までやってきた。 …やっぱり妖力使いすぎて疲労感が凄いよぉ…… 意識の朦朧とする中、串焼きだけはしっかりくわえ、少しでも見つかりにくい草むらの中をとぼとぼと歩き続ける……。 …少しだけ休憩……少しだけ…少し…だ…け…… トサッ…… 白狐は倒れるように、重い瞼を閉じた……。 ?「あら…例の狐さん……?」 白狐の耳にはそんな声が聞こえた気がしたが、身体は動かなかった……。
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