五章:取引

3/8
前へ
/29ページ
次へ
「じゃぁ、このおはぎ、貰っていいかな?お金は払おうか……?」 白狐を抱えたまま余ったおはぎを貰おうと手を伸ばすパンダさん。 「あ、はい!お金はいらないです!」 いつの間にか二人の様子を見て、涙の貯まった目をしていた少女は、はっと気づいたようにおはぎを差し出した。 「白狐、後で好きなだけ構ってあげるから、今は離れててね?一緒に食べちゃうかもしれないからね♪」 「う……うん」 お稲荷さんと串焼き一本と共に、白狐を少女に渡すと食べてしまうから。と離れておくようにと促す。 少し疑問に持った少女だったが、直ぐに理由が分かった。 「バクッ……!ゴクン……」 小さな身体にどうやってはいるのだろうか、疑問には思うところだが、表すとすれば一呑みなのだ。後には何も残らず、お皿も串焼きの串もひとつ残らずパンダさんの小さなお腹の中に大して膨らむことなく消えてしまった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加