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そんな桜月を拾ってから6年の歳月を遂げている。
弱々しい吐息はしっかりして、自分が人間だと言うことをわかっていないようにも思える。
小さな体が御門の背後に隠れると、しっかと御門の裾を掴んでビクビクと怯えていた。
御門は毎度のように気にせず、桜月が走って来た道を遠目で眺める。
道には、小さな明かりがぽつぽつと出現した。
妖怪たちの参列者だ。
どうやら桜月はそれに怯えているらしかったが、御門はお構いなしにその参列者の中へ足を運び、並んで歩いて行く。
それでも桜月はなかなか妖怪たちの参列する中へ入れずにいた。
これもいつものことなので気にしない。
〔山神さま、今日は沼地で宴会ですと〕
〔狛犬も来るそうですぜ〕
(珍しい客だな。今宵も呑み暮れようか。河童が舞ってくれそうだ)
ゲラゲラと笑う妖怪たちの長蛇の列は、山を下りて行こうとしている。
桜月は、離れた所から御門たちを追いかけていた。
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