狐の祭囃子

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16年に一度、 山がとても騒がしくなる日がくる。 人間たちの間では、“山神さま”への舞が舞われ、山奥に供物を置いて行く。 でも、これもこの年で終わりを告げようとしていた。 そんな人間たちを嘲笑うように、妖怪たちは心底馬鹿にしている。 山神さまに感謝をしなくなった。 供物を供えることも疎かになり、我々を忘れていこうとする人間共を憤りと呆れた感情が入り混じっている。 それでも、すぐにそんな感情はなくなってしまう。 妖怪たちには、山神さまへの供物を届けに行こうとするからだ。 どんぐりと栗、紅葉から魚。芋から小石。 16年に一度あるその供物の中で、変わった物を届けようとしていた。
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