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私は喫茶店の扉を開ける。
乾いた鈴の音。
「いらっしゃいませ」マスターの低く無機質な声。
私はカウンターのいつもの席に座る。
「珈琲を」
「畏まりました」
店内は薄暗くモダンな雰囲気。一見するとバーのようだが、テーブルと椅子の設備もしっかりしている。
ただ、そこに他の客がいるのを私は見たことがない。
メニューも変わっている。
注文できるのはただ一つ。
ブラックの珈琲のみ。
そして、マスターの気分によるがサービスとして不可解な事件を聞くことができる。
私はそれを推理する。
この喫茶店に来るのも、それが楽しみの一つだからである。
もう半年ぐらいは経つだろうか。
私が定年退職を迎えてからほとんど毎日通っている。
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