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駅を出ると雨が降っていた。
傘を持っていなかった私は立ち往生していた。
コンビニで傘を買うのも億劫だったから近くの本屋に入った。
あまり大きな店じゃなくて、主人が一人レジがある机の向こうに座っているだけだった。
気付いていないのか私が入っても何も言われなかった。
それから、つい立ち読みをしてしまって30分程度その店にいた。
本から目を離すと、隣に男性がいた。そんなことにも気付かないぐらい没頭していたんだ。
さて帰ろうとしたときだった。
「おい、君。万引きしただろう?」
どうやら私じゃない。さっきの男だった。
「何を言っているんだ?」
「万引きしただろうと言ったんだ。その鞄を見せなさい」
「何も見つからなかったらお詫びしてくださいよ?」
男は右肩に掛けていた鞄を下ろした。
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