第一話 珈琲と本

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「以上が私が遭遇した出来事です。お客様には一連の事件の真相を推理してもらいたいのです」 マスターはそこまで言うと口を閉じた。 「一連の事件…… 万引き騒動とスリ事件ですね。この二つが関係している…そのようですね」 珈琲を口に運ぶ。脳内がクリアになって、思考の純度が上がる。 「流石、鋭いですね」 私は少し瞑想する。 万引きと間違えた店主。 何も盗っていなかった男。 それを見ていたマスター。 夜のスリ。 盗まれた鞄。 犯人の本当の狙いが鞄ではないとしたら…… 「どうやら真相が見えたようです」 「それは素晴らしい。では、お客様の推理。拝聴させていただきます」 「まず、犯人は本を盗むためにこの事件を計画した。そうではないですか?」 マスターは少し微笑むような表情を見せた。
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