第一話 珈琲と本

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「書店で万引きと間違えられた男が、そのスリの犯人だとしたら……そう仮定することですべて見えてきます。 さて、そもそも何故、書店で万引きと間違えられたのか。それは男が本を盗る瞬間を店主に見られていたからですね。しかし、実際には盗んだ本は出てこなかった。 どうしてか? それはマスターの鞄の中に本を入れていたからです。 鞄を持っていた位置がキーですね。 マスターは左肩に。犯人は右肩に掛けていた。 ちょうど隣り合うような位置だったから店主には見えなかった。 つまり、男が本を盗る瞬間を見ていても、その本が何処にいったのかはわからなかったのです。 マスターの鞄に入っている本。そして、それを狙う犯人。 スリはすべてその結果だったのですね」 「ご名答です」 マスターは嬉しそうな表情だ。
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