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(此処は何処だ……?)
聖人は気が付くと見知らぬ場所に居た
「どうして、人は人を傷付ける……」
(何だ、今のは自分なのに自分じゃない誰かが喋るような感覚は……
まさか、俺の無くした記憶か?
だとしたら、これは夢か?)
聖人が見ている夢は赤い丘、まるで血を連想させるような赤い色
その丘の頂上に聖人はただ一人で立ちすくんでいた
「魔王っ!!!!
貴様は居てはいけない存在だっ!!
だから、死ねっ!!!」
突如、聖人が見知らぬ男が切り掛かって来た
だが………
「フッ………」
夢の中の聖人は相手の斬撃をかわし干将で断ち切る
「お前も、俺をその名で呼ぶのだな…」
何て声を掛けてもたった今、切り捨てた屍は答えない
ただ、血を流し続けだけだった
(これが、俺の記憶だとすると俺は人を殺した事が有るのか…)
聖人は酷く悲しい感情が心の中にあった
それは、恐らく記憶の中の聖人の感情
ひょっとしたら今切り捨てた男は顔見知りだったのかもしれない
「魔王か……何時から、そんな風に呼ばれる様になったんだろうな…」
声はただ反響する事も無く、答えてくれる者も無く、ただ飛散していく
「俺はただ皆が笑って居られる世界を望んで来たのにな…」
男の手は返り血で汚れ
「俺は……」
男はただ一人でこの赤い丘に立ちすくむ
そうたった一人で………
(この俺は一体………)
聖人は、この愚直なまでな男の背中が酷く小さく想えた
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