:第十一話:

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――― ―― ― 「……君……聖…聖……君……聖君!」 「はっ!!」 「聖君、大丈夫?うなされ居たみたいだけど やっぱり医務室に戻った方が良いんじゃ……」 「嫌、大丈夫だ、ただ悪い夢を見ただけだから」 聖人はフェイトの言葉を遮る 今だに夢の中で感じた悲しみが聖人の心を苛んでいた 「聖君………」 「だから、大丈夫だ、心配掛けて悪かったな、フェイト」 今の聖人は酷く朧げで何時も優しい笑みも今にも消えてしまいそうな印象を受ける だから、フェイトは――― 「聖君、もっと私に甘えても良いんだよ……」 それは、聖人がフェイトに言った言葉 「私が聖君に支えて貰った様に私も聖君を支えるから」 「フェイト……」 フェイトは優しく聖人を抱きしめる、かつて、自分が聖人に優しくしてもらった様に 「うん、聖君……」 「……夢を見たんだ… 愚直な男の夢を、その男は自分の信念を信じ、その信念を貫き通し、そして、孤独になった男の夢を……」 聖人は、その夢が自分の失った記憶かも知れないという事はフェイトに話さかった フェイトに要らぬ心配を掛けたくないというのも有るが、あの夢が本当に自分の記憶なのかも知れないという確証はない 「うん……でもね、夢では孤独だったかも知れないけど、今は私が居るよ、聖君……」 「そうだな…フェイトが居てくれてるもんな」 聖人はフェイトが傍に居てくれる事が嬉しかった 傍に居て、魔王では無く自分の名を呼んでくれて心が澄んでいくのを感じた 「ありがとう、フェイト」 「ううん、良いよ、聖君」 「あのさ…二人共、悪いんだけどさ…」 良く存在を忘れられるアルフ 「何、アルフ?」 「嫌……その~~」 アルフはチラチラとある方へ目を向ける そこには……… 「あらっ、私の事は気にせずにどうぞどうぞ続けても良いんですよ」 そこには、何時から居たのかリンディ・ハラオウンが両膝を抱えてニコニコしながら二人を眺めていた 「//////////////////////////////////」 言葉にならない程に顔を真っ赤にするフェイト 「居たのなら声を掛けてくれれば良かったのに……」 若干ジト目でリンディを見る聖人 「あらっ、私だって空気ぐらい読むわよ」 そして、終始ニコニコ顔のリンディ 「はっ…はははは……」 渇いた笑みを浮かべるアルフ こうして、微妙な空気が流れて行く
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