第二章

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椿はもう一度辺りを見渡してみた。先程と変わらず黒の世界。 何度も何度もぐるぐると辺りを見渡していたら、立ち眩みを起こしてしまった。 ―‥気持ち悪い‥。 自業自得だと思いながら、椿は膝に手をついて足元を見つめた。 足元を見つめた時、ふとあるものに気付く。 ―‥何だろう、これ。 うっすらとではあるが自分の足がある部分に一本の線が見えたのだ。不思議に思い足でその線の部分を擦ってみる。微かに窪んでいたが、僅かすぎて今まで気付かなかったようだ。 その線は前後の闇の中へと伸び、奥まで続いているらしい。椿の目で確認出来る範囲でも途切れている箇所は見あたらなかった。 ―‥どこまで続いているんだろう。 椿は後ろを振り返った。何もない闇の空間‥。ただ今までと違うことは、グレーの色をした不思議な線が今まで気付かなかった分はっきりと見えることだ。 ごくりと唾を飲み込む。 ―‥ここにいても何も変わらない。どこに続いているのかわからないけど、行ってみる価値はありそうだよね。 自分に言い聞かせ、僅かに窪んでいるグレーの線の上を一歩踏み出した。
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