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気づかれなくていい……
ただ彼を見ていられるのなら、それだけでいい……
奥手な私には見ているだけが精一杯のことだった。
時々ふと、もし彼女が私だったら……なんて重ねてみたり。
もし彼が見つめているのが私だったならどんなに幸せだろうって擬似恋愛をしてみたりした。
今、思い起こせばすごく可笑しくて、あまりの幼さに笑ってしまうけど、あの頃の私はずっと……
ずっと……
こうして彼を……
2人を眺めていれると思っていたのに、別れは突然やってきてしまった。
中学2年の秋。
私は父親の仕事の都合で転校することになった。
最後に一言だけ、この想いを伝えようかと思ったけど、仲の良い2人を見ていると言えなかった。
こうして何も言えないまま、ただ遠くから見つめているだけの私の初恋は幕を閉じた。
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