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…。
この人はいきなり何を言い出すんだろう。
別世界の人でも見ているかのように、その発言に対して感想をもつ。
何も喋らない茉帆の腕を、男の子は強引に掴んでどこかへと向かう。
「どこ行くの?」
家以外ではめったに喋らない。
というか、喋る機会もなくどう接すればいいのか分からなくなっていた。
元は明るく活発な、よくいる女の子だったというのに。
しばらく歩いている途中に時計を見かけた。
本来ならもう、学校で授業を受けている時間。
制服を着た男女が街中をふらふらしているのは目立つだろう。
警察に見つかれば家にも学校にも連絡がいってしまう。
それが茉帆は面倒だから、サボらずに学校へ行っていたのだ。
「SEXできるとこ」
「はい?」
おっさんに触られているところを助けてくれたと思いきや、突然キスをして、それ以上のことまでしようと言いだした。
…いいよ、とも言っていないのに。
「勝手に決めないで」
とりあえず、茉帆は思ったことを言った。
そして掴まれていた手をふりほどく。
「ダメなの?」
この質問に、茉帆は答えることができなかった。
見知らぬ男の子にSEXしようなんて言われたにも関わらず、茉帆は本気で嫌だ、とは思っていなかった。
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