勝手な男の子

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やることが終わってから茉帆は服も着ないままじっとしていた。 初めての痛みに、じっと耐えていたのだ。 男の子はそんな茉帆の横でコーラを飲んでいる。 数十分したあと、ようやく元通りに制服を着直して、男の子の持ってきてくれたミルクティーを口にした。 まだ少しだけズキッとする。 思い出すだけで真っ赤になってしまうし、少し後悔もしていた。 「初めてだったんだな」 ぽつりと男の子がつぶやく。 茉帆は小さくうなずいた。 「まだ痛むか?」 心配しているのかしていないのか。 茉帆の顔を覗き込みながら男の子はそう聞く。 首を横にふって返事をした。 少し、強がってみる。 ぽんぽん、と茉帆の頭を撫でると男の子は時計に目をやった。 「まだ時間あるしな。歌うか」 そう、ここはカラオケBOX。 歌うのが本来の目的の場所のはず。 …自由すぎる。 マイクを持って曲を選んでいる男の子を見て茉帆は、バレないようにため息をついた。 「ほら、歌うだろ?」 「…。あたしはいいや。聴いてる」 マイクを渡してきたのを断る。 見知らぬ男の子の前で歌う元気なんてなかった。 「ふーん。じゃ、少しだけ」 そう言って入れた曲は茉帆もどこかで聴いたことのあるような盛り上がる、元気な曲。 それを楽しそうにノリノリで歌う男の子。 茉帆もそんな様子を見て自然と、笑顔になっていた。
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