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「じゃ、ここ真っ直ぐ行くと改札だから」
カラオケBOXを出た二人は特に会話もなく、駅まで戻ってきた。
「…そんなの言われなくても分かるから」
「念のためだよ。あんた、ぼーっとしてるし」
少しだけ慣れた茉帆は多少は喋るようになった。
人が少ない駅で小さいから、迷いそうにはない。
「それじゃあ。さよなら」
素っ気なくあいさつして茉帆は帰ろうとした。
そのとき、不意に腕を掴まれる。
「あんたさ、左腕…」
左腕。
それを聞いた途端に茉帆は男の子の手をふりほどき、駅のホームへと走って行った。
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