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文化祭、一週間前になると授業が潰れ、本格的にいろいろとセッティングがされ始めた。
そんなクラスに、茉帆の居場所はない。
教室の隅でぼんやりとクラスメートたちを眺めていた。
「ねえ、この机そっち運んでー」
「ここの飾り付けどうする?」
楽しそうに準備をする声が聞こえてくる。
何もすることがなく、準備の輪にも入れず見ているだけの茉帆。
すごく苦痛だった。
「メイド服、着てきました~っ!」
その声と共に教室に姿を現したのはメイド姿の由梨亜と女子2、3人。
「わぁっ。かわいい!」
「おー、いいじゃん」
「写メ撮ろーぜ、写メ」
クラスメートたちはすぐに、準備をしていた手を止めて由梨亜のまわりへと集まっていく。
散らばっていた生徒たちが一つの場所に集まり、茉帆はぽつんと一人残った形になる。
「みんなで順番にメイドさんやろーねー♪」
にっこりと、上機嫌の由梨亜が、そんなことを言っている。
自分はずっとその格好でいるからメイド服を譲る気はないくせに。
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