15人が本棚に入れています
本棚に追加
三桁の暗証番号をダイヤルに合わせて鍵をはずす。
誰もいないことを確認してから外へ出て、思いっきりのびをした。
屋上へ、一般の生徒は出ることができないようになっている。
そのため、屋上へと続く階段は使わないようにロープが張ってあり、ドアにもダイヤル式の鍵がついていた。
茉帆が中に入れるのは卒業した、仲の良かった先輩に教えてもらったから。
「…はあ」
フェンスにもたれ、校庭の様子を見てみる。
教室や廊下と変わらず、忙しく準備を進める生徒たちでにぎわっていた。
なんでだろ。
今さら、なんで。
さっきの出来事に、疑問しか浮かんでこない茉帆。
なぜ、今になって自分に声をかけてきたのか。
松本のことがよく分からない。
しばらく校庭の様子をぼーっと眺めてから、思い出したように歩き出す。
屋上の端の方にある倉庫の横の、わずかな隙間。
テントのようなものが畳んで、そこには立てかけてあるが、それをどかして倉庫の裏側へと抜けることができる。
そこは茉帆のお気に入りの場所だった。
学校内で唯一の。
あー、落ちつく。
三つ葉の咲くあたりを横目に、茉帆は寝転んだ。
倉庫の裏側にある、この秘密の場所は不思議だった。
最初のコメントを投稿しよう!