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突然の声に驚いてカッターを落とす。
起き上がってカッターの刃をしまい、声をかけてきた女の子を座ったまま見上げた。
さらさらの髪が風にゆれてなびく姿が、綺麗な子だな、と茉帆は思う。
「………」
女の子の問いには答えず、黙って見つめていた。
その女の子も答えを求めている様子でもなく、無言のまま茉帆の隣に座る。
「痛くないの?」
茉帆の左手を眺めてただ、そう言ってきた。
「…。軽蔑とかしないの?」
茉帆が中学生の時。
仲良くなった友達に手首の傷を見られ、それ以来その友達は恐れるような目で茉帆のことを見るようになった。
そのときから、その子とは“友達”ではなくなったんだろう。
今では茉帆は、客観的にそう思えた。
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