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自分のことを自分で傷つけるなんて、普通の人から考えれば馬鹿だと笑うかもしれない。
そんなことをしている自分がおかしいんだ、ということは茉帆も、ある程度分かっていた。
それでもやってしまうのは…。
ものすごく弱い人間だからなのかもしれない。
「別に。馬鹿だな、って思うけど」
躊躇うこともせずに、女の子はストレートにそう言った。
だよね。
心の中でそう思う。
口には出さず、静かに女の子のことを見つめた。
「けど、御影さんにもいろいろあるんでしょ」
「うん。……えっ?」
自分の名前を呼ばれて、茉帆は二つのことに驚く。
まずは女の子が自分の名前を知っていたこと。
そして、知っているのになぜ、話しかけてきたのか。
学校中で有名なはずの噂と、暗黙の了解を知らないのだろうか、と不思議に思った。
「…何で知ってるの?名前」
「有名でしょ」
くすっと笑ってそう言われる。
笑われてむかっとくるはずなんだけど。
この女の子にはそうは思わなかった。
むしろかわいいな、と思ってしまう。
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