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「あたしに話しかけたら目、つけられるじゃん」
「大丈夫だよ。気にしない」
堂々と言う女の子。
なぜそんなに自信があるのだろうか。
また、茉帆が何か言いかけたときに、チャイムが鳴った。
四限が終わり、昼休み開始の合図。
女の子は手に持っていた包みを膝の上に置く。
お弁当だろう。
…ここで食べるんだ。
様子を見ながらそんなことを思った。
茉帆は手ぶらで来たため、お弁当なんか持ってきていない。
だからといって取りに教室へは戻りたくもなかった。
「名前、なに?」
「宮井 沙夜」
ふりかけのかかったご飯を口に運びながら、沙夜が答える。
「宮井さん、ありがとう」
「え?」
「話しかけてくれて」
それから沙夜に向かってにこっと笑ってみせる。
たとえ作り笑いでも、学校で笑顔を見せたのは何ヶ月ぶりだろう。
ふと、そんなことを思った。
「沙夜って呼んで」
お弁当は食べ続けながら沙夜がそんなことを言う。
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