文化祭

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「…良かった。これなら大丈夫かな」 本当に安心した、というようにそうつぶやいていた。 当然、茉帆にはその言葉がどういう意味なのかは分からない。 「どうして?」 聞いても良いことなのか、迷ったけれどそう尋ねた。 すると沙夜は少しだけ頬を赤くする。 「唐揚げ、彼奴が好きだって言うから…」 独り言かと思うくらい小さな声だった。 でも、なんのことなのかだいたい、茉帆は理解する。 好きな人…、かな。 そう思ってから、ここへ来る前に見た松本の真面目な横顔を思い出す。 けれどすぐに首を横にふった。 「好きじゃない」そう、自分に言い聞かせて。
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