15人が本棚に入れています
本棚に追加
「…良かった。これなら大丈夫かな」
本当に安心した、というようにそうつぶやいていた。
当然、茉帆にはその言葉がどういう意味なのかは分からない。
「どうして?」
聞いても良いことなのか、迷ったけれどそう尋ねた。
すると沙夜は少しだけ頬を赤くする。
「唐揚げ、彼奴が好きだって言うから…」
独り言かと思うくらい小さな声だった。
でも、なんのことなのかだいたい、茉帆は理解する。
好きな人…、かな。
そう思ってから、ここへ来る前に見た松本の真面目な横顔を思い出す。
けれどすぐに首を横にふった。
「好きじゃない」そう、自分に言い聞かせて。
最初のコメントを投稿しよう!