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何て返したらいいのか全く分からなかった。
面と向かって告白されるなんて、初めてだ。
「…や、ごめん。
好きだってこと、伝えようと思って御影のこと待ってたから」
顔が赤くなっていくのを感じながらも、ちらっと松本のことを見てみる。
松本も、顔が真っ赤になっていた。
「今すぐじゃなくていいから。
そのうち御影の気持ちも教えてくれたら嬉しいな、って」
一生懸命、あたしのことを考えて言ってくれたのかな、って思ったら心が暖かくなった。
「うん。分かった」
素直に返事した。
松本のことをもっと真面目に、考えてみようってそう思ってた。
「お、おう。じゃあなっ」
いつもならこのまま一緒に帰ったりしていた。
けれどこの日はやはり。
告白したあとで気まずいのか、松本は一人ですぐに帰って行った。
あたしものんきにそんな松本の後ろ姿を眺めていた。
…自分の気持ちは分かっていた。
『一緒にいたい』
あのときすぐに返事をしていたら。
何か、変わっていたのだろうか。
この後、あたしは松本に自分の気持ちを伝えることはなかった。
伝えたかったけれど、そんな状態ではなかったから。
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