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―美夜、元気でね。私達2年1組のこと、忘れないでね。ずっと友達だから―
親友の言葉と泣き顔を思い出す。
窓の向こうから見えるのは澄んだ青空と濃い緑色の高い山。
私が窓から景色を眺めている時、お母さんが話しかけてきた。
「美夜。長い間車に乗ってて疲れたでしょ。いまお婆ちゃんがお茶菓子持ってきてくれるから。」
「うん。ありがと。」
今は山奥にあるお婆ちゃんの家に来ている。私は引っ越して来たのだ。
なんでかと言うと、お父さんが交通事故で死んだからである。
お母さんは、お婆ちゃんが独り暮らしだから一緒に実家へ帰ろう、と言って引っ越しする事を私に勧めてきた。
確かにここは空気もいいし、景色も好きだ。
たが、何だろう。
何か足りない。東京みたくガヤガヤしていなく、静かで良いのだが、やけに静かなのだ。
雲がなく青過ぎる空、緑色の高い山、何の音もない空気。
私にはこの景色が少し怖く感じた。
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