第1章~新しい運命のうずの中に~

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1755年… この年ヨーロッパの三つのちがった国々にやがてベルサイユで宿命的なであいを持つことになる3人の人間が生まれた。 北欧の王国スウェーデンに高貴な家柄の上院議員の長男としてハンス・アクセル・フォン・フェルゼンは生まれる。生まれながらにばく大な資産と高い身分と物静かな賢さとそして…のちにベルサイユ中の貴婦人たちの胸をときめかせる均整のとれた男らしい美貌に恵まれたフェルゼンであった。 オスカル・フラワソン・ド・ジャルジャェが生まれたのはフランスのベルサイユにほど遠からぬ貴族の館。フランス王家の新任もあつく代々王家の軍隊を統率してきた由緒ある家の末娘であった。 バターン。 「ご主人様!お生まれでございます!もうそれはそれはお美しい天使のようなお姫さまで」 「ま…また女だというのか!?な…なんということだ!女ばっかりこれで6人!ジャルジャェ家はいったいのろわれているのか!?ええいくそっ!王家をお守りし軍を指揮する将軍の家に女などいらぬは!」 「そ…そんなご主人さま」 ホギャァァ ホギャァァ…ホギャァァ… 「ふむ………泣き声だけは男なみだなしっかりしている」 ホギャァァ… 「どうでございますこのきりりとしたお美しいお顔だち!ご成長のあかつきにはさぞや…」 「よしきめた!オスカル!おまえの名はオスカルだ!どうだいい名だろう」 「ええーっ!?そ…それは男の名まえではありませんか!?いくらなんでもあまりな…」 「そうとも!こいつにわしのあとをつがせる!この父がフランス一の軍人にそだてあげてやろう!オスカル!わしのむすこだわかったな!」 そして巨大な歴史の嵐の中にその運命を投ぜられた悲劇の王妃マリー・アントワネット1755年マリー・アントワネットジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュはフランスとならぶヨーロッパの強国オーストリアに女帝マリア・テレジアの第9子として生まれた。 母マリア・テレジアは女ながらに政治に異常なほどの才能をもち強国な国家体制をととのえオーストリア・ハプスブルク王朝の名を不動のものにしな女傑であった。 シェーんブルン宮殿の奥ふかく大オーストリア皇女として…マリー・アントワネットはこの上もなく美しく気高く優美にそしておおらかにそだっていく………
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