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ああ神様。
わたしはとても酷いことをしていました。
大事な大事な幼馴染みを力の限りで傷付けました。
「なンだ、そりゃ」
「懺悔。」
「はァ?」
「気づかなかったんだもん。あんたもでしょ。」
「椎名かよ。」
「そうよ。」
「言わなかったあいつが悪いんじゃねーの。」
黒田は言いながら、未だ祈りの形に手を組むミチルに近づき、その正面に腰を降ろした。
そしてミチルの赤くぼやけた目を見つめる。
じわ、と水が漏れてくるのを待つみたいに。
「…なによ。」
「懺悔するには、聴き役が必要だろ?」
「あんたにだけは勘弁だわ。」
「懺悔聞くのは天使サマばっかりとは限らない。モノによっちゃあ悪魔のが気を利かせてくれると思わねえ?」
黒田は意地悪く目を細めてミチルを見下ろす。
その姿はさながらまったく悪魔だ。
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