勿忘草

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『ふぁ~っ!』 大きく息をはいてその子は地上にあらわれました… たくさんの車が行き交う道のガードレールの下でまだ人々のはく息は白く頬を撫でる風はひんやりと肌をキュッと引き締めてくれる…そんな場所でおきた小さな小さな物語… 静かな時が徐々に暖かさを増す光に追いやられ 街が目覚めていきます… 『おはようっ』 元気良くはなつ声は虚しく人々はその子頭の上を通り過ぎて行きます どぉして誰も振り向いてくれないのかなぁ?生まれたばかりのその子には解るはずもありません それからもたくさん…たくさん、たくさん叫びました っとその時… 寒そうに頬を真っ赤に染めておかぁさんに手を引かれてくる小さな女の子と目が合いました 不思議そうな瞳でその子の前にチョコンと座り…優しくほほ笑みかけてくれます なんだか幸せな気持ちでいっぱいになります 優しく撫でてもくれました しばらくするとおかぁさん『雑草なんかであそんぢゃダメッ』女の子の手を引いて行ってしまいます 『雑草?』(・・?) 当然その子には解るはずもありません…がそれと同時に『雑草』と言う名前が付いた瞬間でもありました… それからもずっと語りかけほほ笑みかけますがだれも返してはくれません(>_<) 『誰かぁこっちを振り向いて!お話しようよっ』 ただただ必死に… 街がきらびやかに輝きを放ちはじめるころ その子は路上の闇の中にいました… なんで…どぉして誰も振り向いてくれないの?お話してくれないの? 闇の中たまに道をはずれる酔っ払いに踏まれそうになりながら 一人ぼっちで考えます 僕はなにをすればいいんだろ?…と… でもその答えなど見つかるはずもなく眠りにおちてゆきます…
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