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【ゴォォォオオ…】
唸る様な音と共に
辺りを激しい熱気が覆いつくす
天まで届くかの様な火柱が暗き曇天の闇を照らし、火の粉が降り注ぐその先には人々の歪んだ笑みが広がる
燃えているのは小さな神社
「やったぞォォォォォ!!!」
「ついに鬼を殺したんだ」
「村に幸福が訪れる!!」
あははははははははははははははは
狂気の笑い声が燃える神社に共鳴し炎もゲラゲラと声を上げる
それは狂ったように
いつまでも聞こえ続けた
しかし…
『ねェ』
【ブシャアアアッ】
何かが…舞った
ごとりと落ちる……それ
見開かれた目が地から此方を見つめる
途端冷たくなった村人が地面に倒れた
広がる鮮やかな紅色
炎の光が笑みの消えた人々の顔を照らす
皆その刹那の出来事に、何が起きたのか理解することが出来なかった
「おい…これ……」
『…ねェ』
小さくそしてか細い…子供の声
この場に不釣り合いなその可愛らしい声は誰もが聞き覚えのあるもので
その声が誰の物か理解したその時、目を見開き、ガタガタと小刻みに身体を震わす村人達
『…なんで笑ってるの?』
振り返るとそこには
炎の中に居る筈の
…鬼がいた
銀色の髪に血を浴びて
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