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『…ッ!!!』
【ガバッ!!】
声にならない声を上げ
銀時は布団から勢いよく飛び起きた
見開く瞳に定まらない焦点
身体が小刻みに震える
荒い呼吸を整え急いで辺りを見渡したが
そこは代わり映えのしない
いつもの部屋
『……夢…か…』
先ほどの光景が夢だと気がつくのにそう長くは掛からなかった
辺りをもう一度ぐるりと見回すと
途端にどっと安堵の息が身体の奥から押し寄せ、また布団へと倒れ込んだ
…畜生
べったりと…
嫌な汗が纏わり付く
『ひでェ夢…』
小さく無意識に呟いていた
暫くして時間が気になり
時計を探したのだが見つからない
あー…そーいや昨日寝ぼけてぶっ壊したんだっけ
ということを、棚の上に置いてある無残な姿のジャスタウェイ時計を見て思い出した
『……起きるか…』
ゆっくりと布団から出る
こんなに早く起きたのはいつ振りだろうか
少し寒ィな…
冷たい朝の空気が薄い寝巻きを通り越し肌に触れる
汗に濡れた身体が冷え、少し肌寒かったが何だか新鮮で心地がよかった
しかし寒いものはやはり寒いので、急いでいつもの着流しに着替える
ふと窓の外を見ると
空はどんよりと曇り、辺りは朝にもかかわらず薄暗かった
…何か暗れェと思ったのはこの所為か
『…あん時と同じ空だな』
光を遮る鉛色の雲
銀時の脳裏に先ほど見た夢の情景が過る
曇天の空を見つめるその瞳は
…何を想うのだろうか
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