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「……は?」
お昼休み。剱さんは加えていた煙草をポロッと床に落とした。それを慌てて自分で拾いあげる。
「…成る程。空流は勘が良いし、相当女慣れしてるからな」
困ったように藍さんが長い髪をかきあげた。澄んだ瞳がよく見える。
「あいつは嫌な予感がしたんだよな~」
「何故だ?」
「瀧にずっと抱きついてたんだよ(怒)」
荒々しく煙草を灰皿に押し付け、火を消した。
「それはお前の個人的な怒りだろうが。とにかく瀧。お前はあまり空流に近付かない方が良い」
藍さんの言葉に胸のどこかがチクンと痛んだ。近付かない方が良い…か。そう言われるのは分かっていた。でも実際言われると凄く辛い。
「わかりました」
表情に出さないようにし、「失礼しました」と言って校長室をあとにした。
午後の授業は何をやったか全く覚えていない。私の頭の中は藍さんに言われた言葉でいっぱいだった。そして、胸の痛みも収まることはなかった。
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