第三章 教師の苦悩

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翌日、ここ数日は天気が良いのか、まるで昨日の出来事が嘘のような快晴である。 「……ん」 そんな天気の中、那月は目を覚ました。 「……暗っ」 押し入れの中で。 すると、押し入れの外から軽いノック音と共に声が聞こえた。 『那月さん、今日は服を着て寝てましたよ』 意外にも先に起きていたのか外から聞こえたのは天使ティア=ユルエルの声。 「ティアか……痛っ!」 押し入れを開けようとした瞬間に彼の全身に痛みを感じた。 どうやら昨日、廊下に転がった際に、身体を強く打ったようだ。 (はぁ……まぁ仕方ないかな) 時間が経ったら痛みも無くなるだろうと完結させて押し入れを少々必死に開ける。 そこには、エプロンを付けたティアがフライパン片手に突っ立っていた。 「ティア? 何だ……その格好はァァァァァァ!!」 寝ぼけていた那月の話の速度が現状を把握するにつれて加速した。 思わず声が裏返ったのは内緒である。 「ハダカエプロンらしいです。昨日、稲崎さんに教わったんです。これが朝の正装だって」 「……」 素っ裸にエプロンのティアを見た那月は一つ決めた。 「よし、稲崎を殺そう」
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