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(……俺には、おはよう無し?)
那月は、そんなことを思ったのだが、大して気にしていないので追求しないでおくことにした。
稲崎は、こういう奴だということを分かっているからである。
「まぁ……えーと……行くぞ!」
このまま放置していても事態は収集出来そうにないので、那月は先を急ぐように促す。
すると稲崎は、何かを思い出したように、那月に近付くと、
「そういやお前、昨日は大丈夫だったか? 樹元に目を付けられたらしいけどよ」
「な、何でお前が……」
那月は、何て答えるべきか正直迷った。
確かに那月は、昨日の放課後に樹元と、戦ったとまでは言えないまでも魔法を交えた。
(今日もまた絡まれるのかな……でもな)
昨日の樹元が、本気ではなかったことは、何となく察していたが、それでも那月の生み出した黒い武器は、彼女の攻撃を打ち消したのだ。
(相殺じゃなくて……打ち消した?)
そこでまた那月は不思議に思う。
(何で昨日のあの黒い武器は、あいつの魔法を打ち消したんだ?)
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