第三章 教師の苦悩

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(……俺には、おはよう無し?) 那月は、そんなことを思ったのだが、大して気にしていないので追求しないでおくことにした。 稲崎は、こういう奴だということを分かっているからである。 「まぁ……えーと……行くぞ!」 このまま放置していても事態は収集出来そうにないので、那月は先を急ぐように促す。 すると稲崎は、何かを思い出したように、那月に近付くと、 「そういやお前、昨日は大丈夫だったか? 樹元に目を付けられたらしいけどよ」 「な、何でお前が……」 那月は、何て答えるべきか正直迷った。 確かに那月は、昨日の放課後に樹元と、戦ったとまでは言えないまでも魔法を交えた。 (今日もまた絡まれるのかな……でもな) 昨日の樹元が、本気ではなかったことは、何となく察していたが、それでも那月の生み出した黒い武器は、彼女の攻撃を打ち消したのだ。 (相殺じゃなくて……打ち消した?) そこでまた那月は不思議に思う。 (何で昨日のあの黒い武器は、あいつの魔法を打ち消したんだ?)
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