12547人が本棚に入れています
本棚に追加
「……悪いな」
俺は素直に謝る。
「まっ、いいけどさ」
ディンは軽く許した。
これが彼のいい所であり、悪い所でもある。
「ねぇ…ディン君…」
「呼び捨てで、いいよ。あっ、でも、『ディン様~』って呼んでくれてもいい!」
エルは少し戸惑って話しているのだが、ディンはそれを楽しんでいる。
「変なこと吹き込むなよ」
俺は冷静に口を尖らせる。
しかし、
「じゃあ、……『ディン様~』これから仲良くしてね。……………これでいい?」
乗ったのか、素なのかはわから………いや、素なのだろう。
「エル、『ディン様~』ってのは冗談だ」
俺は何か5歳児を注意しているような気分になった。
しかし、俺はそんなことで気を悪くはしない。むしろ、楽しいくらいだ。
俺は眼帯や『クラス3』などによって、避けられている。
(エルやディンに会ったことは幸運だったのかもしれないな)
俺は心からそう思った。
そうして、俺の物語はこの出会いから始まったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!