始まりと出会い

7/8
前へ
/351ページ
次へ
「……悪いな」 俺は素直に謝る。 「まっ、いいけどさ」 ディンは軽く許した。 これが彼のいい所であり、悪い所でもある。 「ねぇ…ディン君…」 「呼び捨てで、いいよ。あっ、でも、『ディン様~』って呼んでくれてもいい!」 エルは少し戸惑って話しているのだが、ディンはそれを楽しんでいる。 「変なこと吹き込むなよ」 俺は冷静に口を尖らせる。 しかし、 「じゃあ、……『ディン様~』これから仲良くしてね。……………これでいい?」 乗ったのか、素なのかはわから………いや、素なのだろう。 「エル、『ディン様~』ってのは冗談だ」 俺は何か5歳児を注意しているような気分になった。 しかし、俺はそんなことで気を悪くはしない。むしろ、楽しいくらいだ。 俺は眼帯や『クラス3』などによって、避けられている。 (エルやディンに会ったことは幸運だったのかもしれないな) 俺は心からそう思った。 そうして、俺の物語はこの出会いから始まったのだ。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12547人が本棚に入れています
本棚に追加