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サァーーーーー……。
暗雲の立ち込める中、重い雨が延々と降り続いていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
一人の魔女がその濡れた地面に降り立った。
「………」
彼女は大事そうに何かを抱え、前方に口を開いている大きな洞窟に早足で進んだ。
息を切らして、洞窟に入った彼女の顔には疲れが見える。
いったい、何をしてきたのだろうか………。
彼女は自分の長い漆黒の黒髪をかきあげた。
「……ダオ・……ケータル様!」
彼女はそう声を出す。
声は優美だが、少し涸れていた。
まるで涙を流した後のように…。
彼女は奥へと進んだ。
ポタッ。
天井から水滴が落ちる。
弱い光の中、その魔女の濡れた艶やかな黒髪は絹に劣らぬ光沢を放ち、同じく漆黒の黒い瞳は周りの宝石を差し置き輝いていた。
その魔女の姿は美しいの一言に尽きた。
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