竜石と精霊石

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俺は左手の『竜番』を構えた。 そして、ニヤッと笑い、砂浜を蹴った。 駆け出して向かったのは、エル………………ではなく、ディンだ。 俺はエルの真横を通り過ぎた。 ディンは意識がなく、倒れている。 《テンペスト》によるダメージのせいだ。 俺はすぐにディンの前に立った。 そして、左手に握られている『竜番』を振り上げた。 俺をつき動かすのは『殺戮衝動』。 仲間であるかないかは関係がない。 その前に仲間であるという意識が理性と共に消えている。 「死ね!ヒャハァ!」 俺はディンを叩き斬ろうとした。 「やめてぇぇーーーー!!」 エルは泣き叫んだ。 (おい、…………何やってんだよ………) 俺の動きが止まった。 『竜番』はディンの真上で寸止めされている。 ……………………。 (………………やめろ。 …………やめろよ。 ……………やめるんだ! やめるんだ!俺!) シュゥーーー!! 俺の服の一部分が輝かしい光を放った。
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