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眠りから覚めた 静寂の世界
震える身体には 無数の花椿
未熟さゆえの性か 溢れんばかりの
雫が落ちたのは 乾ききった砂漠地帯
雨で乾きは満たされるが 心の渇きは満たされない
雨に打たれる花椿は 儚くも美しい
現在(いま)を生きるに値する 報いが
降り注ぐ視線(あめ)になろうと 構わない
過去のあやまちを悔い改めよと 天声(こえ)が
聞こえてくるのはソラミミだと いうまでもない
ずっと見てきた 曇りなき眼
見つめる先には 紅蓮の椿
いまにも落ちそうな その花弁を
穢れた手を汚さぬように そっと包み込んだ
もし運命というモノが カタチとして現れるなら
どんな災いも受けよう アナタが望むなら
この世界を憎みきれるか? と問う
憎むことはできないが 自分を憎める
この世に生まれた感情も 捨てよう
ソラミミはもう聴こえない
失ってもなお 引きずる覚悟などいらない
失う悲しみを背負うくらいなら 始めからいらない
疲れ果てた身体を 投げ出すかのように
潤う花椿に 飛び込み散った…
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