1章

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 ―――― ――――……ぅ…… どこからか少女の声が聞こえてくる。 俺は知っている。 こんな夢を見たことがある。 あくまでそんな気がするだけだが。 夢の中での俺は、まるで観測者であるかのようにただ少年と少女を見ている。 何もせず、何も言わない。 二人の顔は見えない。かろうじてわかるのは、少女の髪が美しい銀髪をしているということだけだ。 少年と少女は神社で遊んでいる。 一体何が楽しいのか、 馬鹿になってしまったかのように笑っている。 転げ回り、泥だらけになる。 そんな光景を美しいと思ってしまう俺もきっと馬鹿なんだろう。 や、俺が馬鹿なことははるか昔に気付いてはいたけど。
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