第一章 ~事件~

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(義姉) 「わかった。本人と話してみる…。絶対馬鹿な事しちゃダメだからね」 (俺) 「本当に申し訳ありません…」 目を潤わせながら電話を切り、場所を近くの公園に移した。 車から降り、ベンチに腰掛け、目の前の水たまりにぼんやり目を向ける。 空を見上げると、満天の星空が広がっていた。濡れることも気にせず、湿った芝生の上に大の字に横になってみた。 今までの生活や子供達の色々な表情、仕事、親、兄弟、友達…。 夢中になって思い出にひたっていると、目から大粒の涙が溢れ出る。 目を閉じても溢れ出る。 何とかしたいほど胸が締め付けられる。 すると、突然胸の締め付けが酷くなってきた。 余計にパニックになると、息苦しくなり、呼吸困難に…。  そして僕は気を失ってしまった。 どれ位たっただろうか… ふと目が覚めると、泥だらけでびしょ濡れの僕は、手足や口に痺れを感じていた。 携帯を手に取ると、12~3件の着信が…。 妻と義姉からだった。 着信履歴を確認し終わってすぐ位に義姉から着信が…。 (俺) 「…もしもし…」 不安げに話す。 (義姉) 「あっっ、出た!もしもし?今どこ?大丈夫?」 もの凄く焦った様子で話す。 (俺) 「すみません…気を失っていたみたいで…」 (義姉) 「大丈夫なの?今どこ?」 (俺) 「大丈夫です。もう…いいですから…。ありがとうございました…。」 僕は強引に電話を切ってしまった。 それから、数時間だが、えらく長く感じる夜を寝ずに朝を迎えた。妻や義姉からの着信も数回あったが、でる事は無かった…。 朝、僕が勤めるのは妻の実家で経営する工場だ。 いつもよりずいぶんと早い出勤に、義父が話しかけてきた。 (義父) 「どうしたんだ今日は?早すぎるんじゃないか?」 その言葉は、とても優しく、とてもあたたかく感じた。 僕は、こみ上げる思いを抑えきれず、涙してしまった。 (義父) 「さぁ、一旦中に入れ」 義父は、焦ることなく僕の肩にそっと手をかけてくれた。そして事務所へと。 (義父) 「まぁ、ちょっと落ち着け」 涙のとまらない俺に、そっと、ティッシュとコーヒーを差し出してくれた。 気持ちを落ち着けると、僕は、先行きの不安からか義父に全てを打ち明け、別れる気も、復縁を考えて他言する気も無いこと、逆に聞かなかった事にしてほしいと伝えた。
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