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一週間ぶりの電話に緊張が高まった。
もともと不精のソラ。
喧嘩別れした日以来、メールも電話もしてこない。
さすがにあの日は、
『無事帰ったか心配じゃないの?』
と腹を立てたけど、めずらしくみどりから電話があったから、ソラがみどりに聞いたんだとわかった。
それが更に佐和子の怒りに油を注いだなんて、多分ソラは気付いてないんだろう。
そんな人だ。
それからもちろん佐和子も連絡をしていない。
あんな別れ方をしたのだ。
なんて言えばいいかなんてわからなかった。
2コール目だった。
『はい』
耳に馴染んだ心地よい声が、体中を駆け巡った。
今日は佐和子の誕生日だからと、わざわざ休みをとってくれたのを知っている。
「話したいんだけど会えない?」
緊張して喉がくっつく。
『・・・迎えにいく』
ただそれだけなのに、心が痺れた。
ソラの声はおかしいくらいに効いて、ずっと我慢していたのに、涙が出てきた。
佐和子は車が寄せやすい会社の近くまで戻る。
泣けるほど好きだと実感したけど、泣きながら会うのは絶対に嫌だった。
今からが勝負なのに、泣き落としみたいでかっこ悪い。
コンビニでコーラを買って一気に飲むと、舌がしびれて涙がひいた。
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