PRECIOUS

プロローグ

いつもと変わらない、一人で暮らすには大きすぎる家、いつもと変わらない、静かな部屋。
私の親、いや、あの人達を親といえるのだろうか。子供が邪魔だと思っている人たちを。
私の親はある大企業の社長とその秘書。私には二つ上の兄がいる。だから跡継ぎは当然兄。私は星雅家にとってどうでもいい存在、いや、私の場合は邪魔な存在。小さい頃から兄にしか愛をそそがない人たちだった。少しでも、かまってもらおうと色々なことをした。
でも、親は変わらなかった。優しくなるどころかそのうち私が家にいること事態を、不快に思うようになった。
だから、私が高校に入学すると同時に、私は家から追い出され、今では、親が持つ高級マンションの一つの部屋が私の家だ。