『紅・滴り・指先』

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「こちらへおいで、夕霧。私が刺してあげよう」 「うん、やはり思った通りだ。夕霧にとても良く似合っているよ」 「ありがとうございます」 今までに貰ったどんな物よりも嬉しい。 今までは、花魁になった姉さん達が華やかな簪や着物を貰っているのがとても羨ましかった。 でも今は、そのどんな煌びやかな簪よりも主様から貰った簪の方が、輝いて見えた。 「夕霧、愛しているよ」 主様の指先が、そっと頬に触れた。 暖かい手、真剣な眼差し。 ……主様、それは本当の事ですか? 「夕霧、愛している。私は心から、お前を好いているのだよ」 抱きすくめられ、主様に優しく組み敷かれた。 主様が私の元に通いつめて、何度目だろうか。主様とは、今宵初めてまぐわう事になる。 胸が高鳴った。 「……私も、ずっとずっと、お慕いしておりました」 「私の夕霧、愛しい人。そんなに熱っぽい目で見つめられると困ってしまうよ」 本日何度目か、帯の紐をゆっくりと解かれながら、待ち侘びていたその唇を自分のものと重ね合わせる。 指先を絡め、まるで恋人同士のよう。 互いの肌に触れる。とても心地がよい。 主様の指が、下へ下へと這っていく。 「蜜が滴り落ちているよ」 「主様っ!」 意地悪に微笑む。こんな主様の表情は初めてで……私は何時になく恥ずかしさを感じた。 モノが宛がわれ、今日何度も繰り返した行為。 昨日も一昨日も…… すんなりとモノがナカへと入って行く。 ドロリとナカに溜まっていた蜜が溢れ出た。 私は主様にしがみついた。 「あぁっ、主様っ!主様っ!」 激しく突かれ、身が震える。 カラダだけでなく、心をも満たされたのは、初めてだった。
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